大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(ラ)1371号 決定

三 1 抗告人は、破産管財人は、破産法第一九八条第二項所定の「急迫ノ必要」がないにもかかわらず、債権者集会の決議を回避するため、本件許可申請をし、原決定を得た旨主張するが、右主張を肯認できる資料はなく、かえって、前認定のとおり、破産管財人が債権者集会の決議を得ることに代えて本件許可申請をしたのは、破産財団管理の必要上可及的速かに在庫品を処分すべきもの(その場合、あわせて、工業所有権も処分する)との判断に基づくものであり、右判断は相当として是認できるから、前記法条にいう「緊急ノ必要」がないとはいえず、抗告人の前示主張は採用できない。抗告人は、「緊急ノ必要」がないとみるべき徴憑として、破産管財人の欺罔行為を挙げるが、抗告人主張のような欺罔行為があったことを肯認できないこと後述のとおりである。

2 <省略>

3 抗告人は、本件で売却許可がされた特許権、意匠権は破産法第一九七条第二号に規定された権利であるから、その換価は民事訴訟法によってこれをなすべきであるところ(同法第二〇二条)、民事訴訟法第六二五条が予定する右権利の価格の鑑定も行われず、競争入札も行われないまま、右権利の売買に対し許可を与えた原決定は違法である旨主張する。しかし、破産法第二〇二条は、同法第一九七条第一号及び第二号所定の権利もしくは物の換価のため破産管財人による任意売却(破産管財人がその権限に基づき買受の相手方に直接に売却する方法をいう。)によらない場合には、財産権の種類に則し、民事訴訟法の強制執行に関する規定に従って換価しなければならないとしているものと解されるから、破産管財人が任意売却の方法を選択した本件のような場合には、当該権利等の価格の評価について必らず鑑定を経なければならないというような拘束はなく、また、買受の相手方の選定につき常に競争入札の手続をとらなければならないものではなく(そもそも、工業所有権を目的とする強制執行における換価のためにされる民事訴訟法第六二五条第三項の「特別ノ処分」も、いかなる具体的方法、手続によるかは執行裁判所の裁量に委ねられているのである。)、破産管財人が、適切な時期、方法、買受の相手方を選んで、できるだけ高価にこれを換価し、破産債権者への配当にあてられるべき金銭を作るという職責と権限に基づき、自由に換価することができるものというべきである。

(蕪山 浅香 安国)

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